唐突ですが、自動車任意保険の保障のひとつ『人身傷害補償』の金額設定はいくらにしていますか?
インターネットで調べてみると「人身傷害 いくら」という検索ワードが多いようです。
みんな設定金額に迷っているようですね。
今日は『人身傷害補償は無制限にした理由』をご紹介。
人身傷害は誰を守る保障なのか。
いくらあれば足りるのか。
生命保険や医療保険があれば不要なのか。
といった内容を解説します。
自動車保険更新の参考にご覧ください。
自動車保険の重要性はこちらの記事で解説しています。
【目次】好きな見出しに飛ぶ
人身傷害補償保険とは

- 自分や搭乗者のための補償
- 自動車事故に関して補償が手厚い
つまり、自分側の補償をしてくれる保険特約です。
人身傷害補償は5つのメリットがあります。
車内外タイプは自動車事故には無敵の保険

- 車内のみタイプ
- 車内外タイプ
人身傷害補償には2つの契約範囲があります。
タイプの呼び方は保険会社によって異なりますが、補償はほぼ同じです。
補償範囲の違いは以下の通り。
≪契約タイプ別補償範囲の違い≫
状況 | 車内のみ | 車内外 |
契約自動車に乗車中の事故 | 〇 | 〇 |
他の自動車(バス・タクシー等を含む) に乗車中の事故 | × | 〇 |
歩行中や自転車に乗っているときの 自動車事故 | × | 〇 |
車内のみの補償範囲は、契約車両に搭乗中の事故限定。
一方、車内外の補償範囲は、契約車両に搭乗中の事故及び、他人の車(※)に搭乗中の事故、歩行中や自転車乗車中の自動車事故などです。
※)以下の自動車等は含まれません。
・二輪自動車、原付バイク
・記名被保険者やその家族が常時使用するお車等
どちらも記名被保険者(契約車両を主に使用する人)と、その家族についても補償されます。
補償範囲は、車内のみか車内外なのかで異なります。
死亡、入院費用、手術代、通院費用、休業補償、慰謝料などが受け取れます。
つまり、圧倒的に車内外タイプのほうが補償は手厚いです。
人身傷害補償の重複と注意点
ちなみに、車内外タイプの人身傷害補償は、2台目以上の車を所有している場合は補償範囲が重複します。
1台だけ車内外タイプ、2台目以降は車内のみタイプで契約することで、重複分の保険料が節約できます。
余計な保険料を支払わないためにも、補償内容と車の所有台数には注意が必要です。
ただし、注意点があります。
『誰を記名被保険者(契約車両を主に使用する人)に設定した車両に、車内外タイプを付けるか』です。
同居するような世帯の場合、保険による「家族の定義」に従わなければ、補償範囲外になる家族が出てきます。
記名被保険者 | 私 | 私の配偶者 | 私の同居の父 | 私の別居の 未婚の子 |
私 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
私の同居の父 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
基本的に「本人と家族」とは、次の方の事を差します。
つまり、祖父母が記名被保険者になっている車両に車内外タイプを付けてしまうと、孫は補償外。
このように『誰が記名被保険者の車両に車内タイプを契約するのか』は、かなり重要です。
早く保険金が受け取れる

示談交渉を待たずして、保険金が支払われる
通常は相手と示談交渉を完了した後、保険金の支払いという順序です。
人身傷害補償はこの示談交渉を待つことなく、保険金が支払われます。
損害賠償金に関して、すんなり折り合いが付けばいいのですが、相手との交渉がスムーズにまとまらないこともあるでしょう。
となると、仕事を休んでいる期間の収入がなくなり、治療費の工面に追われる苦痛を味わうかもしれません。
そんな時に役立つのが人身傷害補償。
要は、損害賠償金を保険会社が早く支払ってくれるので、当面の費用は確保できます。
過失割合に関係なく実損害分の保険金受け取り

自分の過失が大きい場合も、関係なく損害分補償される
人身傷害補償の1番のメリットは、過失割合に関係なく、100%の実損害分の補償を受け取ることができることです。
例えば、損害額を1,000万円としましょう。
過失割合は自分が7割、相手が3割。
となると、相手から支払われる保険金は300万円です。
残りの700万円は自腹を切ることになります。
ここで人身傷害補償に加入していると、契約保険会社から700万円を補填してくれます。
要は相手から300万円、契約保険会社から700万円の合計1,000万円の保険金を受け取れるわけです。
自分の過失割合が大きくても、残りの損害額が補償されるのは万が一のときに安心ですね。
相手が自動車任意保険に未加入だったり、損害額が相手の支払い能力以上になった場合は、本来の賠償金を受け取れないなどのトラブルに発展します。
人身傷害補償特約を付けておけば、差額分を受け取ることができる。
つまり、自分の身を守るための保険特約ですね。
自損事故も補償される
過失割合が関係ないということは、単独事故やひき逃げ、当て逃げも補償してくれるということです。
自賠責保険(強制保険)は、相手を救済する保険ですから自損事故による自身の死傷や、他人の所有物、自分の車への補償はありません。
唯一、搭乗者がケガをした場合のみ補償を受け取ることはできます。
とは言え、補償が薄いのは変わりありません。
こんな時に頼れるのが人身傷害補償。
自損事故で、自分の負ったケガも人身傷害補償が適用されます。
等級が下がらない

人身傷害補償を使っても、翌年の保険料は上がらない
人身傷害補償のみを使っても、ノンフリート等級は下がりません。
例えば自損事故などのケガのみで、対物賠償は使わず、治療費に人身傷害補償を適用すると等級は下がりません。
ただし、事故を起こし対人対物賠償を使えば3等級または1等級ダウンになります。
つまり、事故の程度によっては人身傷害補償の適用で、翌年からの保険料負担が大きくならないかもしれません。
契約者の家族を守る補償

- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
補償範囲がめっちゃ広い。
しかも、人身傷害補償は1名ずつに支払われます。
例えば夫婦と子供の3人家族が、徒歩で公園に向かう途中交通事故に遭ったとしましょう。
実損害額は「父5,000万円」「母3,000万円」「子500万円」。
契約人身傷害補償上限額が5,000万円。
この場合、各3人が実損害額満額の保険金を受け取ることができます。
つまり、人身傷害補償は範囲も広く、補償も厚いです。
人身傷害補償を無制限にした理由

万が一の時、金銭的に生活苦になる可能性を失くすため
あなたは人身傷害補償の保険金をいくらにしていますか?
私は昨年まで7,000万円で、更新とともに無制限に変更しました。
SBI損保の調査によると、約75%の人が5,000万円以下を選択しているそうです。

交通事故は死傷に限らず、後遺症が残る可能性もあります。
そして、過去21年分の高額判例32件のうち31件が後遺障害です。
例えば、当時21歳大学3年生の男性が交通事故に遭い、植物状態になる後遺症が残った裁判。
名古屋地裁が下した判決は、加害者に3憶7,829万円の賠償額を認めました。
人身傷害補償の保険金設定が5,000万円だったとしても、もし相手が無保険だったら?もし対人賠償額が足りなかったら?
金銭的被害を被るのは自分や自分の家族です。
裁判を起こしたとしても、相手によっては無い袖は振れません。
これって、すごくしんどくないですか?
自分の大切な人が事故に遭って、後遺症が残り、今後の人生を考えたとき目の前が真っ暗になりそうです。
お金がすべてではありません。
でも、お金で解決できることはあります。
だから私は家族を金銭的に守るため、人身傷害を無制限にしました。
あなたが死亡した場合の損害額はいくら
死亡時の損害額はネットでシミュレーションできます。
➡【ソニー損保 人身傷害シミュレーション】から簡易試算してみる
高所得者ほど、年齢が若いほど、扶養者がいると損害額は高くなります。
私もやってみましたが、34歳専業主婦でも6,000万円でした。
個人的には5,000万円以下の人身傷害補償では、不安に感じます。
あくまでもこの試算は「死亡した場合」ですから、後遺症はまた別の話。
あらゆる可能性を考慮して、夫婦間で「もしものことが起きた後の生活や金銭はどうするか」を話し合うと不安がなくなりますよ。
➡【保険スクエアbang!で自動車保険を一括見積りしてみる】
ネット自動車保険に乗り換えた保険料と補償内容公開は、こちらの記事で紹介しています。
人身傷害補償の保険料は大差ない

34歳、専業主婦、SBI自動車保険で試算
保険金5,000万円と無制限の保険料の差額『年間180円』
今まで気にしたことなくて試算してびっくりしたんですけど、保険料そんなに変わらないっていう結果となりました。
≪保険金の差額一覧表≫
補償額 | 保険料差額 |
人身傷害補償なし | 0円 |
5,000万円 | 3,950円 |
7,000万円 | 4,060円 |
1億円 | 4,090円 |
1.5億円 | 4,110円 |
2億円 無制限 | 4,130円 |
7,000万円と無制限の差額はわずか70円。
うまい棒6本分くらいで、数千万円の差が開くなんて驚きです。
悩む間もなく「無制限やな」って即決しました。
これはあくまで私の場合です。
あなたも是非、補償金額と保険料比較をやってみてください。
倍額条項の有無の確認は必須

後遺障害が生じ、かつ介護が必要と認められる場合で、人身傷害補償保険が無制限以外の時
人身傷害補償保険金額の2倍の金額を限度として補償してくれる
人身傷害補償5,000万円以下で契約しているから不安になってきたわ!
という方は、倍額条項の有無を確認しましょう。
加入中の自動車保険に倍額条項があって、条件を満たすようなら設定金額の倍額の保険金を受け取れます。
倍額条項は保険会社によってついているところと、いないところがあるので加入前に確認したほうが良いですよ。
ちなみにSBI自動車保険で確認したところ、倍額条項がありました。
➡【SBI自動車保険 人身傷害補償 賠償条項について】
普通保険約款・特約(2020年4月)の9ページ第11条に記載
つまり、倍額条項の有無で補償は全く別物になります。
大体パンフレットの小さな文章のところに書かれていたり、約款のような文章だらけで読む気が失せる箇所に記載されていることが多いです。
インターネットのチャット問い合わせなどをうまく利用して、確認することをおすすめします。
全く違う「人身傷害補償」「生命保険」「医療保険」の補償範囲

人身傷害保険は、同乗者も含めた自動車事故に対しての補償
生命保険は真に関係なく(自殺不可)契約者本人の死亡に対しての補償
医療保険は治療に対しての補償
つまり、それぞれの保険は補償目的が全く違います。
『生命保険や医療保険に加入しているから人身傷害は不要』なんてことはありません。
生命保険や医療保険は契約者本人に対しての補償なので、その家族は補償が対象外。
一方、自動車事故は車内外プランなら、家族も含めた自動車事故による補償が受けられます。
保険の役割が全く違うことを把握したうえで、どうするかを考えましょう。
≪各種保険の保障範囲一覧表≫
スマホの方は横画面にすると見やすくなります
原因 | 補償内容 | 人身傷害 | 生命保険 | 医療保険 |
自動車事故 | 死亡 | 〇 | 〇 | × |
入院手術 | 〇 | × | 〇 | |
通院 | 〇 | × | 〇 | |
休業 | 〇 | × | × | |
慰謝料 | 〇 | × | × | |
車以外での 事故 | 死亡 | × | 〇 | × |
入院手術 | × | × | 〇 | |
通院 | × | × | 〇 | |
休業 | × | × | × | |
慰謝料 | × | × | × | |
病気 | 死亡 | × | 〇 | × |
入院手術 | × | × | 〇 | |
通院 | × | × | 〇 | |
休業 | × | × | × | |
慰謝料 | × | × | × |
〇=補償範囲内 ×=補償対象外
固定費の削減、本当に必要な保険はこちらの記事で解説しています。
人身傷害特約を無制限にした理由 まとめ

- 人身傷害補償とは、自分やその家族のに対して手厚い自動車事故補償
- 「車内のみ」と「車内外」の補償範囲がある
- 示談交渉を待たずに保険金が支払われる
- 過失割合に関係なく、損害分が補償されて安心
- 人身傷害補償は等級が下がらない保険特約
- 記名被保険者、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子と補償範囲が広い
- 1名につき保険金が支払われる
- 無制限にした理由は、交通事故は憶越えの賠償金の可能性があるため
- 保険金に対して保険料は数百円しか変わらなかった
- 倍額事項の有無は保険会社によって異なる
- 生命保険や医療保険と人身傷害補償は、補償目的が全く違う