遺族年金はみな平等……ではないッ!!
遺族年金の受給要件をしっかり把握しておかないと、いざという時にお金が支給されないかも!?
以前ブログ記事で『生命保険は子持ち世帯だけでOK!』という話をしましたが、年収や配偶者が死亡後の生活によっては保険が必要になることもあります。
つまり、公的年金がもらえない場合は保険に頼りましょうということ。
税金は毎月支払っているけど、どういう人が受給できるのかを知っていますか?
なんと、遺族年金を受給するには年収制限があるんですよ。
私も調べるまで知りませんでした。
調べた後はというと……掛捨ての生命保険に申し込みました。
見事、遺族基礎年金の受給対象外だったのです。
不幸のギャンブルはいつ起こるかわかりません。
過度な保険は不要ですが、生活破綻リスクを回避する保険は必要。
というわけで、万が一が気になる人向けに『専業主婦が生命保険に加入した理由』をご紹介。
稼がなきゃいけないし、育児もしなきゃ。
残された俺と子供たちは一体どうしたらいいんだ……。
という事が無いよう、最後までお付き合いください。
火災保険・自動車保険・掛捨て生命保険だけで保険は十分!という話は、こちらからどうぞ。
【もくじ】
配偶者死亡で受給できる遺族年金とは?
遺族年金とは、社会保障のひとつ
家族を養っていた人が死亡したとき家族に支給されるものであり、以下の2種類がある
- 遺族基礎年金 20歳以上60歳未満の全国民が加入(国民年金)
- 遺族厚生年金 会社員や公務員が加入(厚生年金)
「基礎」と「厚生」で遺族年金は『全くの別物』になります。
国民年金は、日本国内に居住する20歳から60歳全員に加入が義務付けられている制度です。
加入者は「第1号被保険者(自営業、学生、無職など)」「第2被保険者(会社員、公務員など)」「第3被保険者(第2号被保険者に扶養されている20歳から60歳未満の配偶者」の3種類に分けられます。
一方、厚生年金は、第2保険者を対象にした年金制度です。
受給額は保険料の納付月数と収入によって決まるため、高収入ほど受給額も増えます。
国民年金に上乗せして支給されます。
どんな時にいくらもらえる?遺族年金
- 遺族基礎年金 家族構成で決まる
- 遺族厚生年金 働いた年数と収入で決まる
配偶者または子供に支給される『遺族基礎年金』
亡くなった人によって生計を立てていた「子どものいる配偶者」または「子ども」に対し、「遺族基礎年金」が支給されます。
国民年金(遺族基礎年金) | ||
支給要件 | ★ | 被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。) |
※ | ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。 | |
対象者 | ★死亡した者によって生計を維持されていた、 (1)子のある配偶者 (2)子 子とは次の者に限ります
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年金額 (令和2年4月から) |
781,700円+子の加算 子の加算 第1子・第2子 各 224,900円 第3子以降 各 75,000円
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引用元:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
例えば30代夫婦と4歳児ひとりの3人家族で妻が死亡した場合、年間100万円の遺族基礎年金がもらえます。
しかも満18歳までずっと。
これは心強い公的年金。
と思いきやッ!!
『遺族の年収が850万円未満(所得655.5万円未満)でないと受給できません。
もはや天地の差です。
厚生年金加入者が死亡した場合支給される『遺族厚生年金』
亡くなった人が厚生年金の加入者であった場合、遺族に支給されるのが「遺族厚生年金」です。
厚生年金保険(遺族厚生年金) | |
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支給要件 |
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対象者 | 死亡した者によって生計を維持されていた、
※子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となります。 |
引用元:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
年金額(令和2年4月分から)
受給年額={ [平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数]+[平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数] }×3/4(加入月数が300月に満たないときは、300月で計算されます。)
共働きであれば、夫と妻それぞれ死亡時に遺族厚生年金が支給されるのは安心できますね。
ただし、夫の受給は60歳からという制限があるため、男性への補償は手薄です。
さらに受給者が「子どものいる配偶者」または「子ども」の場合、遺族基礎年金もあわせて支給されます。
つまり『子供の有無が年金受給に大きくかかわる』年金といこと。
年収850万円は遺族基礎年金がもらえない!?
4つの受給要件
- 条件ア、前年収入850万円未満
- 条件イ、前年所得655.5万円未満
- 条件ウ、一時的所得を除き、条件アorイ
- 条件エ、おおむね5年以内に、条件アorイ
あなたは遺族基礎年金もらえる?
年収を源泉徴収票で確認しよう(条件ア、イ)
直近の源泉徴収票や確定申告書で、遺族基礎年金の支給対象かを確認することができます。
チェックするのは以下の「支払い金額」と「給料控除後の金額」の2か所。
「支払金額850万円未満」なら受給要件の「条件ア」に該当するため、遺族基礎年金受給対象。
もしくは「給与所得控除後の金額655.5万円未満」なら受給要件の「条件イ」に該当するため、こちらも遺族基礎年金受給対象とみなされます。
収入もしくは所得のどちらかが条件を満たしていれば、オッケー!
自営業の場合は、「収入=売上総額」と「所得=売上総額ー必要経費」になります。
遺族基礎年金受給要件 条件ウ、エ
- 条件ウ、一時的所得を除き、条件アorイ
不動産を売却した譲渡所得や、株式の売却益などによる - 条件エ、おおむね5年以内に、条件アorイ
雇用契約終了なら認められる
土地の売却や株式売却で得た所得は「収入を将来にわたって収入がある」わけではないので、一時的な所得とみなし、収入の判定を行うことができます。
一時的な所得を除き、条件アまたはイに該当するなら受給対象になります。
条件エは、定年退職などの事情によりおおむね5年以内に年収850万円未満(条件ア)、または所得655.5万円未満(条件イ)になると受給対象として認められます。
前年の収入の確認ため、「源泉徴収票」や「所得証明書」を提出します。
前年の収入が記載された確認書類がないときは、前々年分の収入が記載された確認書類での審査となります。
サラリーマンなどの給与所得者は、毎年12月~1月にかけて「源泉徴収票」が会社から交付されます。
当年最後の給料や賞与と一緒に渡されることが多いです。
また、自営業などの個人事業主は、市役所が発行する「所得証明書」を使います。
前年の収入が反映されるのは、翌年6月頃です。
6月以前に発行された所得証明書には、前々年の収入が記載されています。
専業主婦の妻が亡くなったらどんな生活になるのか?
- 育児・家事負担が増える
- 残業ができないどころか、部署変更や転職も有り得る
文字通り朝から晩まで働く旦那。
もし私(妻)が死亡したら、育児と家事もこなさなくてはなりません。
今と同じ部署、業種で働くことは無理とは言いませんが、限りなく不可能に近いでしょうね。
平日、22時以降に帰宅するのに、園から3時前にバスで帰ってくる息子のお出迎えができるでしょうか?
朝6時には家を出る人が、息子のお弁当を作り、掃除洗濯、晩御飯の準備に買い物……いやいや、ムリムリ。
子供が小さいうちはどうしても働く時間は限定されます。
そして「それ」は、家計にも大打撃となります。
『家政婦を雇ったら?』を試算してみました。
家政婦の日当平均は1.3万円ほど。
旦那は週一休みくらい厳しい職種ですから、26日雇うと『月33.8万円』の支出。
年間の家政婦費用だけで405.6万円也。
息子はまだ4歳。
中学入学まで8年はかかります。
家政婦をほぼ毎日雇うのは、無理ゲーですね。
転職や部署異動が現実的です。
高収入の辛い所 妻が死亡すると『遺族基礎年金』がもらえない
- 高収入の旦那が残された場合、年収制限に引っかかって遺族基礎年金がもらえない
- 遺族厚生年金は旦那が60歳をすぎから支給開始で遅い
我が家の場合。
満18歳までもらえる年間100万円の「遺族基礎年金」は収入と所得どちらの制限にもひっかかるため、受給できず。
さらに遺族厚生年金の受給開始期間は、旦那が60歳過ぎから。
遺族基礎年金が受給できないので、「遺族基礎年金と合わせて遺族厚生年金も支給」というわけにはいかないのです。
一番のお金がかかる育児期間にもらえない上に、金額も雀の涙ほど。
というのも、私は正社員で働いた期間は全部合わせても2年弱だし、結婚してから2年ほどパートで稼いでいたものの扶養から外れない収入に抑えてました。
年金通知ハガキで確認したところ、私が死亡した際の厚生年金は約4万円でした。
不安な額だなぁ。
そりゃ給料安かったし、ボーナスもなかったしなぁ……受給額も少なくて当然だわ。
シミュレーションして分かったことは『妻である私が先に逝くと、家計破綻する可能性がある』ということでした。
公的保障で足りない分は保険に頼る
起こる確率は低いけど、もし起こったら路頭に迷うことになる。
だからみんなで少しずつお金を集めて、万が一が起こった人を金銭的に助ける仕組み。
不幸はギャンブルと同じで確率論です。
厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」によると、35歳女性が1年間で死亡する確率は0.00040%。
これが高いと感じるか、低いと感じるかは個人差がありますが、確かなのは0%ではないという事です。
もしこの不幸のギャンブルに当たったとき、我が家は収入減と生活費のダブルパンチで生活破綻可能性があります。
社会保障に関して言えば、夫が死亡した時と妻が死亡した時を比較すると、妻死亡時の方がやや不利です。
年収や所得が関係してくるのでどうしてもそうなるのは仕方ないのですけど、「ライフスタイルや家族構成で受け取れる社会保障が全然違う」という事実はしっかり把握しておいた方が安心です。
というわけで、専業主婦の私は掛捨ての生命保険に加入しました。
もちろん安い、簡単申し込みのネット保険です。
子供が成人になるまでに私に何かあったとき、家計破綻する可能性が高かったので定期の掛捨て生命保険を選びました。
子供が巣立てば、あとは住宅ローンと生活費程度なので旦那の稼ぎだけでもどうにかなりそうです。
必要最低限の生活費を把握することこそ『安心』に繋がる
補償金額っていくらあれば安心だろう?
って思う事ありませんか?
悩んだ末、みんなが加入している平均的な金額でいいや!ってなったり。
でも、ストレスフリーの生活水準やローン額、子供の有無や人数も全く違います。
何が言いたいかと言うと、「平均は安心の根拠にはならない」ってことです。
あなたにはあなたのライフスタイルがあり、必要な補償も金額も違います。
では、どうしたら安心できる補償金額を知ることができるのか。
それは生活費や総資産を現金で見ること。これに尽きます。
最低限の生活に必要な金額。
ゆとりある生活を送るために必要な金額。
今のあなたの資産。
これらを把握してさえいれば、万が一の時に必要な金額は逆算したらわかります。
保険の仕組み上、補償を手厚くするほど保険料は上がるもの。
「万が一」は不幸のギャンブル。
何もなかった!ってことも十分あり得ます。
つまり、余計な保険を掛け過ぎて生活・教育・老後などの本当に必要な資金を圧迫しないようにしましょう。
「保険貧乏」という言葉もあります。
それくらい不安なことにはみんなお金をかけて安心したいんです。
でも本当の安心は、あなたの生活費・ゆとり費・総資産に隠れています。
生活費・ゆとり費・総資産の計算方法は、こちらの記事で解説しています。
年収制限で年金がもらえない!? まとめ
- 年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類がある
- 遺族基礎年金は、死亡したものによって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が対象
満18歳まで年間100万円ほど支給される(子の人数による)
遺族の年収が『850万円未満(所得655.5万円未満)』という条件付き - 遺族厚生年金は、厚生年金の加入者が死亡した場合に遺族が受給できる
受給者が「子どものいる配偶者」または「子ども」の場合、遺族基礎年金と合わせて支給
支給額は支払った保険料や期間によって異なる
妻に対してはすぐ受給開始となるが、夫に対しては60歳以上の制限有り(遺族基礎年金の受給が可能ならあわせて受け取ることが可能) - 妻が先に死亡したら、仕事・育児・家事の負担が全て夫に降りかかる
収入減、支出変わらずの家計破綻の可能性 - 高収入の夫は、公的年金が多いため足りない分は民間保険に頼る
おすすめは安いネット掛捨て保険 - 安心できる補償金額を設定するためには「必要最低限の生活費」「ゆとり費」「総資産」を把握が有効
公的年金は妻には手厚く、夫には手薄い補償だということがわかりました。
そして高収入にも制限がある。
過度な保険料で家計を圧迫しないためにも公的保障に頼りますが、公的保障で足りない部分は民間保険に頼ることも必要です。
あなたのライフスタイルや年収ではどうですか?
保険は定期的に見直し、万が一に備えましょうね。