【卵巣嚢腫レポ③】１０センチ以上の腫瘍を腹腔鏡手術

2014年、当時２８歳で卵巣嚢腫（卵巣奇形種）を患ったウシです。

前回は病院をはしごして卵巣がねじれかけ、地獄を見ました。
そして今回は大学病院で腹腔鏡手術を受けます。

術後の回復は圧倒的に早いけど、麻酔の後遺症がきつかった……。

卵巣嚢腫は全７話のシリーズです。

シリーズ一覧

検査から手術までの流れ

市民病院を退院してすぐ、紹介状を持って大学病院にやってきました。
別に急ぐ必要はなかったんですが、どうしても茎捻転の再発が怖くて最短がよかったの。

１１cmにまで肥大化した卵巣を腹腔鏡手術できるかは検査しないとわかりません。
まずは検査をします。

大学病院での担当医は４０代のチャラ先生。
茶髪で実年齢より若くみえ、趣味がサーフィンで波乗りしてから出勤することもあるそうな。
モテ要素がありすぎなのでブログ内ではチャラ先生と表記します。

この日は問診と検査を行い、一週間後に検査結果が出てから手術内容が決定します。

10ｃｍ以上の卵巣は腹腔鏡手術はできるのか

一般的に卵巣嚢腫は５cm以上で手術をすすめられます。

私の卵巣は１０cmオーバー。
正直、希望が通るのか不安でした。
市民病院での検査結果に一通り目を通したチャラ先生。

そんなトントン拍子に手術できるわけがないか。

市民病院ではいろんな検査をしましたが、大学病院でも検査を受けます。
検査結果次第では開腹手術になるかも……。

やはり、腫瘍が大きすぎると手術の難易度が上がるそう。
それに片方だと思ったら両方の卵巣が腫れていることも珍しくはないそうです。
となれば一層難しい手術になります。

ひとまず初日の問診は楽しくてあっという間に終了。
血液検査とＣＴ検査を済ませたらそのまま帰宅してＯＫ。

あぁ、こういう人がモテるんだろうな……。

せっかくなので寄りました。
おしゃれ空間で医学生たちを眺めながらカフェ飯。
異空間な感じがして楽しかったです。

一週間後。
検査結果がでたので病院を訪れると「大丈夫、腹腔鏡手術できるよ」。
こうして無事に大学病院で腹腔鏡手術を受ける運びとなりました。

手術予定日を決める

腹腔鏡手術ができるとなれば術日を決めます。
唐突すぎて驚いた。

チャラ先生に執刀してほしかったので、最短でやってもらえる日にしました。
１０日後に決定。
体内に爆弾を抱えてるのを早く何とかしたいわ。

次に先生から腹腔鏡手術の説明を受けます。
何か不安ごとやわからないことがあればとことん質問しましょう。

子どもが欲しかった私は術後の卵巣の機能やその後のリスクなどを聞きました。
希望は正常な卵巣は残すこと。

先生は汲み取ってくれるものの「現場の判断次第では卵巣ごと摘出する可能性もある。」と説明もありました。
そして左の卵巣は右を見てから判断するみたいです。
検査はあくまで検査であって、実際は開けてみないとわからないんですって。

納得したら数枚の書類に署名。

最後に入院受付に移動して事前予約と入院に関する説明を受けます。
重要書類を含むたくさんの用紙を受け取りました。
当日に必ず提出するもの、高額療養費制度など費用にかかわる書類があります。
軽く説明はありますが帰宅後によく目を通しましょう。

あとは入院日を待つだけ。

入院当日は書類を忘れずに

指定日時に入院受付に行きました。
忘れちゃいけないのが提出書類。
署名や押印をして受付に出します。

次に病棟や病室の案内がありました。
私は４人部屋の窓際。
他に患者はいません。
非日常すぎてワクワク。

採血や軽い検査を済ませて翌日の手術に備えます。
もちろん食事制限もあるので指示に従いましょう。

腹腔鏡手術当日の流れ

麻酔科医からの説明と署名

朝から旦那がやってきて夫婦で説明を受けました。

個室に通され、麻酔科医２名から話を聞きます。
プリントは文字だらけですが、重要なところだけかいつまんでの説明。

その中で「合併症」って言葉が引っかかり、いくつか質問しました。
全身麻酔の合併症は様々で心筋梗塞や脳梗塞など怖い文字が書かれてたりします。
要約すると「個人差があるため、自身の副反応は術後じゃないとわからない。あくまで事例や考えられるリスクとしてこういう症状が起こるかもしれないということ。」と回答をもらいました。

起こりやすい合併症は４つ。
①吐き気、嘔吐
②頭痛
③悪寒
④喉のかすれ、痛み

麻酔の効果や副反応については次の記事でまとめています。

万が一ってこともあるので血眼になって読もうと思ったけど、すぐ面倒くさくなってサラっと署名しました。

陰毛処理と浣腸

恥ずかしいけどこれも手術のためよ。
陰毛処理は個室で女性看護師さんがやってくれました。

そして人生初の浣腸。

そんな言うほどか？と思ったらムリムリ！出ちゃう。
指示通りにしたかったけど５分ともたないね。

浣腸は即効性がすごい。
二度とやりたくないです。

関連記事　９年後に飲んだ下剤もしんどかった

ソワソワしながら待機

１４時から手術予定なのに看護師さんが迎えに来ない。
尋ねてみたら前の手術が押していて開始時刻が遅れてると。

病室でおとなしくしている旦那と対照的に廊下や病室をムダに徘徊する私。

遂に我慢できなくて手術室へ向かう専用エレベーター前で立ってました。

せっかちな性格でごめんなさい。
普通の人は嫌がるからエレベーター前で待つ人は滅多にいないんですって。

病室からひょっこり顔を出してる旦那に軽く手を振り、いざ手術室へ。

手術室へ移動

ひんやりする手術室には浜崎あゆみのevolutionが流れていました。

思ってたんと違う。
もっとこう……緊張感漂うイメージだったのに浜崎が流れてんだ。

執刀医や看護師さんが６～７名います。
その中にチャラ先生の姿が。

言い回しがモテる人のソレ。

実は手術室で音楽を流すのは当たり前のことなんですって。
選曲は患者にリクエストを聞いたり、執刀医が決めたりいろいろ。
患者をリラックスさせるため世代の曲を選んだり、先生のテンションが上がる曲を選ぶことが多いみたいですよ。

リクエスト曲を聞かれたら手術室でながれるかもしれません。

点滴と全身麻酔

手術台に仰向けになった状態で放心状態になりました。
だって点滴を何度も刺されるから。

血管が出にくい腕でごめんなさい。
新米看護師さんの顔が強張ってる。
ベテランとヒソヒソしたかと思ったら……手の甲に点滴を刺すんですね！？
ご存じでしょうか、手の甲への点滴はめちゃくちゃ痛い。

３回連続ミス。

泣いていいですか？

もっと刺しやすい手が良かったよね。
クリームパンみたいな手でごめん。
でもそろそろ限界だ。

と思ったら、ベテラン看護師がブスっと一発で決めてくれました。

一日の中で点滴ミスが一番痛かったです。
あの時の看護師さん、今でも頑張ってるかな。

全身麻酔

誰しもが思うこと「全身麻酔がきかなかったらどうなる？」
意識や感覚があるうちに手術が始まるって怖いですよね。

暇だったので枕元に待機している麻酔科医に質問してみました。

だったら耐えてやろうじゃないの！

いざ、マスクでの吸引麻酔。
即落ちです。
意識が朦朧とする中、時間を確認したら６時間が経過してました。
病室で旦那と会えたけど強い眠気で二度寝。

ついでに全身麻酔についていろいろ質問したのでまとめておきます。

腹腔鏡手術はガスでお腹を膨らませる

腹腔鏡手術は腹部にいくつか小さな穴をあけて、ガスでお腹を膨らませます。
穴からは内視鏡カメラと鉗子（かんし）と呼ばれる外科手術用具を使って腫瘍を除去します。

風船の中で作業するイメージでしょうか。

私は３か所に穴をあけました。
どれも10mm～30mmサイズの穴。
ヘソから内視鏡カメラ、左右の穴から手術器具を入れます。

内視鏡カメラは１cmにも満たない太さ。
炭酸ガスで膨らませたお腹で撮影した映像をモニターで見ながら手術が行われます。

モニター越しってだけでも開腹手術より難しそう。

大きな腫瘍は細かくして少しずつ取り除きます。

患者への負担が最小限

傷が小さく、入院期間が短いため早期退院・社会復帰ができます。

腹腔鏡手術と帝王切開の比較

	腹腔鏡手術	帝王切開
リハビリ	普段と変わらない	体を起こすのが辛い
術後の痛み	ほぼ気にならない	鎮痛剤を服用しても痛む
シャワー許可	２日目から	３日目から
入院日数	６日	９日
傷跡	目立たない	目立つ

手術は成功

通常３cmほどの卵巣が左が１１cm、右が５ｃｍに肥大化してました。
例えるならペットボトルのキャップが握りこぶしになった感じ。

左右の卵巣が大きくなってたので２つとも腫瘍部分だけ除去。

先生曰く、処置しやすい嚢腫だったそうです。
もし悪性っぽかったら卵巣全摘出になるって聞いていた分、卵巣が残せて一安心。
手術で傷ついた卵巣は自然と元の形、大きさに戻るそうです。
悪いところを一度にやってもらえてよかったです。

正式な病名は成熟嚢胞性奇形種（せいじゅくのうほうせいきけいしゅ）。
よくある卵巣嚢腫のひとつで、幅広い年齢層の女性が発症します。

原因は解明されていませんが"受精していない卵子が卵巣内で分裂する"と考えられています。
腫瘍には歯や毛髪、皮膚のようなものがたくさんついています。
人体組織を作ろうとする卵子の働きなのかもしれません。

後日、チャラ先生から摘出されたものの写真を見せてもらいました。
親族の場合は術後すぐに医師からの説明で実物を見せられます。
気になった方は自己判断で「卵巣嚢腫　髪の毛」とかで調べてみてください。
ネット上にそういう画像があります。

母が手術したとき見ましたけどグロかった。
でも今思えば母体の神秘を感じます。