2014年、当時28歳で卵巣嚢腫(卵巣奇形種)を患ったウシです。
前回の「異状なし」と診断されたその日の夕方、卵巣茎捻転で病院をはしごします。
マジで九死に一生だったかもしれん。
慢性的に下腹部痛がある、その痛みが悪化している女性は気を付けてください。
というか、病院に行こう。
卵巣嚢腫は全7話のシリーズです。 シリーズ一覧
通勤中に卵巣茎捻転でうずくまる
産婦人科にて「異状なし」の診断を受けた日の午後。
いつもよりひどい下腹部痛に襲われました。
ソファに横たわってじっと痛みを過ぎるのを待ちます。
徐々に耐えれるほどにはおさまったものの、いつもより鋭い痛みでした。
この日は土曜日で激務の旦那は珍しく休み。
私は15時からパート。
念のために「何かあったら連絡するから携帯は気にしてて」と伝えいつも通り出勤しました。
パート先は徒歩5分の近さにあります。
横断歩道を渡れば到着ってときに今まで感じたことがない激痛が走りました。
例えるなら長さ40cmくらいの太いアイスピックでいきなり腰から腹にかけて全力で刺され、抜き刺しを1秒ごとに何度も繰り返したり、時には刺したまま上に持ち上げらえたりグリグリ回されている感覚。
本陣痛は鈍器で腰を砕かれる痛みですが、卵巣茎捻転は臓器を串刺しにされる鋭い痛みです。
まさに拷問。
痛すぎて立てず、冷汗が噴き出し、声を出すことすらできません。
その場にうずくまるのが精いっぱい。
この時の私は何を血迷ったのか"お店で少し休んだら治るかも"と考えて出勤しました。
なんとか職場にたどり着きはしたものの、イスに腰掛け机に突っ伏す。
"……どうしよう、ちっとも治まる気配がないわ"
そこへやってきた社長。
"言うなら今しかない"と思い、事情を説明。
「顔色が真っ白だけど大丈夫か!?病院に連れて行こうか!?」
優しい言葉をかけてくれる社長。
「いえ、旦那がいるんで迎えに来てもらいます。」
すぐ病院に行けるよう、車で来てと連絡。
座る体勢すらキツくて突っ伏したまま待機。
急な欠勤なのに職場のみんなが優しくて助かりました。
そうこうしているうちに旦那が店前に到着。
車に乗り込み病院へ。
車のわずかな振動すら臓器に響いて辛かったです。
激痛の原因は卵巣茎捻転。
卵巣茎捻転とは
卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)とは、卵巣と子宮がつながっている部分がねじれる疾患のことです。
卵巣捻転と呼ばれたり、卵巣嚢腫があると卵巣嚢腫茎捻転とも呼ばれます。
卵巣嚢腫の合併症としても有名で、腫瘍が5cm以上になると茎捻転を起こすリスクがあると言われています。
この時の私の卵巣は11cmだったのでねじれて当然だったのかもしれません。
茎捻転の症状は激しい腹痛、嘔吐、意識不明などです。
確かにあの痛みが増したらと考えると失神すると思う。
また、卵巣茎捻転の恐ろしいところは最悪の場合、臓器が壊死する可能性があります。
茎捻転で卵巣が壊死するかも
卵巣がねじれると血流が止まり、卵巣の組織細胞が壊死します。
場合によっては緊急手術が必要になることも。
つまり、茎捻転発生から処置までの時間がとても重要です。
さすがに耐えれないくらいの腹痛だったら病院に行く人が多いでしょう。
でも私のように耐えちゃう人もいると思うので釘を刺しておきたい。
大事になる前に病院で検査してもらおうね。
レントゲン検査したら卵巣が腫れている
土地勘が全くない私たちは大通り沿いの病院い向かうことにしました。
そこは地域医療支援病院。
地域医療支援病院制度の概要
はじめに
地域医療支援病院は、医療施設機能の体系化の一環として、身近な地域で医療が提供されることが望ましいという観点から、紹介患者に対する医療提供、医療機器などの共同利用の実施等を通じて、第一線の地域医療を担うかかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援する能力を備え、地域医療の確保を図る病院としてふさわしい構造設備などを有するものについて、都道府県知事が個別に承認しています。
引用元:厚生労働省 健康・医療 地域医療支援病院について
(後略)
要するに県知事が認めた優秀な医師と設備がある病院ってことです。
ここでは若い男性医師に対応してもらいました。
午前中に産婦人科で異常がないと言われたこと、今の症状を説明してレントゲン検査を受けました。
もう、痛みの限界突破しすぎてベンチでぐったり。
瀕死状態の私が受けた診断結果は以下の通りです。
- レントゲンで子宮か卵巣に大きな腫瘍があると思われる
- これで異常なしの診断はあり得ない
- 当院には産婦人科がないためこれ以上の検査や処置ができない
- 市民病院へ紹介状を書くから今すぐに行くこと
- スムーズに受け入れてもらえるように市民病院側へ連絡しておきます
- 症状を見る限り救急車の手配ができる
思った以上にヤバイ状況だったみたい。
さすがに救急車は申し訳ないので断り、自家用車で行くことにしました。
今思えば卵巣が死ぬか生きるかの状態なんだから救急車使うのが正解です。
みなさんは医師から勧められた救急車は素直に利用しましょう。
そのための車両なので。
旦那に会計を済ませてもらい、市民病院へ向かいます。
運よく痛みが消える
日が暮れたころ、夜間救急窓口から市民病院内へ。
すぐ看護師さんが来てくれました。
けど、もう歩けない……限界だ。
看護師さんがすかさず車いすを用意してくれて診察室へ。
産婦人科医がいてくれてスムーズに診察を受けることができました。
地域医療支援病院の先生がすぐ対応してくれるよう、市民病院側に連絡してくれたおかげです。
ありがてぇ。
市民病院の先生は年も近く、話しやすい方でした。
まずは超音波検査。
仰向けの体勢が辛いのと、激痛のダブルパンチで失神するかと思ったその時!
スゥー……っとまるで嘘のように痛みが消えた。
さっきまで瀕死だった人間が今、ケロっとしている。
そりゃびっくりしすぎて先生に報告するよ。
「ねじれかけてたのかもね」
あれでねじれかけっていうなら完全にねじれた瞬間、意識ぶっ飛ぶだろ!??
検査の結果、卵巣まで血が循環しているから問題なし。
自然に痛みが引いたのは運が良かったとしか言いようがありません。
手術は決定事項です
- 卵巣の腫瘍がかなり肥大化している
- 腫瘍は自然治癒するものではない
- 放っておくと大きくなり続け、卵巣に至るケースがある
- ここまで大きいものは摘出手術になる
- 市民病院では開腹手術になる
まとめると手術は決定事項で手術内容はどうする?って話です。
間髪入れず「腹腔鏡手術を希望します」と伝えました。
なぜなら母が開腹手術で卵巣を摘出しているからです。
母が卵巣を摘出した理由は2つ。
①今後子どもを産む予定がない
②年齢的に悪性腫瘍になる可能性がある
医師と相談して決めたそう。
当時は開腹手術が一般的で腹腔鏡手術ができる医師と設備のある病院は田舎ではありませんでした。
術後、3週間の入院生活。
退院してもしばらくはベッドで横になっていることが多かったですね。
日常生活を送れるようになるまで2~3か月は要したと思います。
そんな母の姿を見ているから何としても開腹手術は避けたかった。
腹腔鏡手術の知識があったのはテレビで見たから。
傷が小さいから体への負担が少なく、目立ちにくい。
そして入院日数も短くて済む。
患者負担が最小限の手術方法。
でも市民病院ではできないため、セカンドオピニオンをすることにしました。
セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。セカンドオピニオンは、担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることだと思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。まず、他の医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。
引用元:東京都福祉保健局 治療・療養に役立つ情報
(後略)
先生は快諾してくれて「大学病院にいる恩師なら腹腔鏡手術できるかもしれない」と、紹介状を作成。
一度、大学病院で検査をする必要があります。
でもこれで腹腔鏡手術ができる可能性がでてきました。
この日は検査のため4日間の入院。
領収書が残ってるので書いてるんですが、実は入院中の記憶があまりないんですよね。
オンラインゲームにハマってたからノートパソコンとかその他一式を持参して病室でプレイしてる記憶だけある。
思いのほかマウスがうるさかったのですぐやめた。
ダメ人間の全盛期でごめんなさい。
なにはともあれ、緊急手術にならなくて良かった。
大波乱の一日となりました。
最初から大きな病院にいっときゃよかったです。
次回は大学病院での検査や手術になります。
ではまた。