もし過去に戻れるなら子どもとのかかわり方をやり直したいウシです。
息子は2歳半を過ぎたころから言葉をどもるようになり、どんどん悪化。
そして良くなったり悪くなったりを繰り返し、4歳前になると吃音が治りました。
原因は私だと思ってます。
息子がストレスを感じるような接し方をしていたと思うから。
この記事では母親である私の主観で話を進めていきます。
似た経験がある方の役に立てれば幸いです。
【もくじ】
2歳を過ぎたころから言葉に詰まる
どもるようになったのは2~3語以上を使って話せる2歳半を過ぎた頃のことでした。
頭の一音をやたら繰り返すことは気づいていました。
でも話し方が気に入ってわざとやっているのでは?と思い指摘しませんでした。
それが徐々にひどくなって吃音だと認識しました。
「あ、あ、あのね」のような話し方が定着している感じ。
小学生時代の同級生に同じ話し方をする子がいたこともあり、表面的に「吃音症」は知っていたつもりです。
でも当時は原因がわからなかったので焦ることはありませんでした。
吃音症状の波を乗り越えたら治った
吃音には波があります。
イメージにするとこんな感じ。
最期は波が小さくなってどもりがなくなってます。
うちの子は連発型のどもりを発症してから一時的に症状が治まり、一週間ほど経つと難発型になりました。
そして月日が流れ、また吃音が治まる時期がやってきました。
どもっていたのが嘘のように流ちょうに話します。
しばらくするとどもる時期へ突入。
2回目のどもり方は連発型でした。
しかもかなり軽度のどもり。
離すことに時間がかかっていた難発型と比べるとスムーズでふわっとした吃音です。
吃音の波を繰り返し、4歳前にして吃音がなくなりました。
8歳を迎えますが吃音の症状は出てません。
近所の子から話し方をいじられるのがつらい
指摘したり、心配しすぎると悪影響になる気がして息子に吃音に関することは伝えませんでした。
でも、悪化していくのは心配。
吃音は本人の意思で抗えません。
話したいテンポで思うように言葉が出ないことがあります。
一般的にどもりやすいシチュエーションは人前で話すとき。
逆に歌や独り言、ぬいぐるみや動物などに対して声を出すときはどもる回数は少なくなるようです。
ただし、どもるポイントには個人差があります。
特定の単語や特定の行が言いにくい。
休み時間はスムーズに話せるのに授業中だけどもってしまうなど。
吃音と言っても全員が全く同じ症状なわけではないんです。
息子はというと、親・近所の子との会話でどもってました。
難発型のころは近所の子に指摘される回数が増えました。
本人の前で説明するのもどうなんだろう?と思いながら軽くフォローしていましたがその状況が歯がゆく、どうにかしてあげたかったですね。
吃音の軽度、重度とは?
吃音は大まかに3つに分けられています。
症状は違えど流ちょうに話すことができないことから吃音とされています。
どれに該当したら軽度、重度ということはありません。
コミュニケーションがとれれば吃音症であっても問題ないと判断されます。
- 連発型
- 伸発型
- 難発型
ひとつの音を繰り返す吃音「連発型」
「あっ、あっ、あっ、あした幼稚園いく」
このように最初の単語を繰り返すどもり方を指します。
吃音になる人の多くは連発型から発生するようです。
イメージとしては有名ドラマ「裸の大将放浪記」がわかりやすいですね。
芦屋雁之助演じる山下清が「ぼ…ぼ……ぼくは、おにぎりを食べたいんだなぁ」とどもっています。
ひとつの音を引き延ばす吃音「伸発型」
「あーーーーーーした幼稚園いく」
最初の単語や音を無意識に伸ばすどもり方を指します。
無音の状態が続く吃音「難発型」
「………………ッ、あした幼稚園いく」
最初の音がブロックされるどもり方を指します。
本人は言葉を出そうと力んだりしますが、言葉がなかなか出せません。
難発型はただの無音ではありません。
呼吸を止めたまま発音しようと力みます。
3歳の息子が頭のてっぺんから足のつま先まで小さな体中力を入れているので黙って見守るしかできません。
時には顔が真っ赤になったりして「呼吸できてる!?一回空気吸おう!」と声をかけたことが何度かありました。
まるで喉に大きな飴玉でも詰まってるんじゃないかと思うほどでした。
吃音になった息子の特徴
息子は言葉が早く、完璧主義者でした。
4歳に軽度の自閉スペクトラム症と診断されました。
2歳半のとき、息子はかなり複雑な文章で自分の意志を伝えようとします。
2歳半なら2つの単語を組み合わせて話せる時期です。
例えば「ごはん、おいしいね」で充分なのに「今日のご飯って、たまごの味がして、いつもよりおいしいね」のように具体的に話す幼児でした。
孫ちゃんは伝えたいことを一生懸命考えて言葉にしようとしてくれるね。
と、義母によく言われましたね。
それだけ必死に考えて言葉にしてる感があるんです。
「言葉にしたいこと」に対して「言葉にできること」が追い付いていない。
つまりそのギャップに息子はストレスを感じていた可能性があるかもしれません。
吃音は2歳から5歳がなりやすい
不安でネットで吃音の情報を漁る毎日。
国立障碍者リハビリテーションセンター研究所によると、2歳あたりから5歳の間は吃音になりやすい時期だそうです。
吃音の症状は様々な国で確認されており、発症率に国や言語による差はほぼなかった。
2語以上の複雑な発話が始まる時期に置きやすいく、発症率は幼児期で8%前後。
女性より男性の方が発症しやすい。
7~8割は成長とともに自然に治り、大人になっても吃音が治らない確率は約1%だそうです。
また、吃音の原因は9割発達性吃音であり、そのうち遺伝的要因が7~8割を占めると国立障碍者リハビリテーションセンター研究所にはありました。
要するに幼児期は吃音になりやすいけど成長とともに治るから心配いらないよ、と。
だから大半は親や子のせいではないってことらしい。
療育センターで初めて吃音の指導を受けたときも同じことを言われました。
吃音の原因は親じゃないって本当?
本当に私のせいではないの?
遺伝的要因があるというけど、私と旦那の親族で吃音になった人はいない。
確かにすべてが親のせいとは言い切れないけど数%の要因にはなってるんじゃないか?
そんなことを考える日々が続きました。
だって2歳児の話を遮ってしゃべっちゃうし、なにより何度注意しても聞かないときは数分押し入れに閉じ込めたことがあったから。
私からのストレスで吃音になったんじゃないか?
そう思わずにはいられない。
後悔する日々でした。
吃音治療のために自宅でやった4つのこと
夫婦で話し合ってルールを設けました。
- わかりやすい言葉で短く叱る
- 黙って最後まで話を聞く
- 夫婦喧嘩を子どもの前でしない
- 実家に帰る
わかりやすい言葉で短く叱る
長々叱るのをやめました。
言葉や文法を考えて話す息子だから"理解してくれるだろう"とダラダラ言い聞かせをしてたけど、聞いてて疲れるなと。
・叱るときは短く明確に伝える
結論を最初に言い切って、後から理由と親の感情を伝えます。
この順番だと3歳児に伝わりやすかったです。
改善前「道路に飛び出すと車にひかれて死んじゃうよ?」
改善後「道路に飛び出すのはやめよう。車にひかれて痛いのはあなた。それはママがとても悲しい。」
・子ども最優先
ほぼ毎日24時間、母子生活ってのは正直しんどい。
特に自閉スペクトラム症の特質である異様なこだわりに付き合うのは大変でした。
イライラして押し入れに閉じ込めたこともあります。
吃音が出てからはとにかく息子のストレスになりそうなことは排除。
当然、押し入れに入れることはしません。
そして息子の感情にひたすら共感すること、関心を持つことを実行しました。
家事は二の次、三の次。
時間が許す限り子どもに付き合う。
この2つをやってみると以前よりコミュニケーションがスムーズに。
育児が少し楽になった気がします。
黙って最後まで話を聞く
療育センターあらのアドバイスやネットに書いてあったので実行しました。
吃音だと「ゆっくり」「落ち着いて」「大丈夫だよ」と言ってしまいがち。
頑張って話す我が子に応援や安心させたくなる気持ちはわかるけど言わない方がいいらしい。
なぜなら症状を本人が自覚していないことがあるから。
聞き手があれこれ言うと「自分は普通の話し方ができていない」と逆に意識する子が中にはいるそうです。
だからどんなに時間がかかろうが黙って最後まで聞きました。
また、相手の言いたいことを先取りしてようやくするのも良くないみたい。
自分のトークを他人に横取りされるのってイヤじゃないですか?
それと同じです。
子どもが話し終えた後にと要約するのはOK。
"伝えたいことがちゃんと伝わっている"とわかると子どもは達成感を得て、話す意欲が湧くそうです。
難発が酷くて呼吸が心配なときは背中をさすったり、呼吸しようと促すことが数回ありました。
それ以外は徹底して適度な相槌を入れつつ、聞き役に徹するのみ。
夫婦喧嘩を子どもの前でしない
この時期は自閉スペクトラム症故の育てにくさと躾に関して夫婦で衝突することが多かったです。
独特なこだわりが強い息子は両親にたびたび指示を出しました。
「ママはそこに立ってて」
「パパはごはん食べちゃダメ」
「ママがティッシュ取ってきて」
のように、誰が何をするまで細かい。
私は自閉スペクトラム症の性質であると考える一方で、旦那はただのわがままととらえておあり、その食い違いから夫婦喧嘩が起きました。
結局、自閉スペクトラム症の診断が下りたことで旦那から理解を得られ、夫婦で育児の役割分担。
それから夫婦喧嘩は減っていきました。
実家に帰る
一番効果があったのが"帰省"でした。
両親以外の人がいる環境に長くいると吃音が軽減されました。
夏季・冬季休暇にほぼ帰省していた我が家。
すると息子の吃音が全く気にならないまでに改善していることに気づきました。
しかも帰省するたびに高確率で。
1週間ほど滞在していると普通に話ができる。
この変化にきづいてから、できるだけ長く帰省しようと時間をとりました。
逆を言えば私と2人きりだから吃音になるってこと??などと考えましたが、押し入れに閉じ込められるんだからそりゃ息が詰まるわなと反省。
母子の心の安定にも帰省は目に見えない良薬でした。
環境を変えるのはうちの子の場合、大きな効果があったと言えます。
吃音の話し方を指摘されるから距離をとった
当時、一緒に遊んでくれる子が何人かいました。
幼稚園に通ってない息子にとっては唯一の遊び仲間です。
しかし吃音症状が出始めるとかかわり方がわからなくなりました。
それは難発型だったころ。
え?何?何が言いたいの?
……ッン……………ッ!
(力みながらも必死で発音しようとしている)
・・・あっちで虫とろうぜー!
いいよ!
息子くん、何言いたいのかわかんなーい。
走り去っていく近所の子どもたち。
言いたいことを伝えたくて走ってついていく息子。
こんなやり取りがひと月ほど毎日続きました。
息子は簡単にはへこたれない性格だけど、吃音のせいで話し方をからかわれたり、変な子扱いされるのは悲しいです。
仲のいい子数名には息子の聞こえないところで「今はこういう話し方だから最後まで聞いてあげてくれると嬉しいな」と説明をしました。
気にかけてくれる優しい子がいれば待てない子や、手厳しい指摘をする子と様々。
それに3人以上の子どもが集まれば仲のいい子を優先するものなので息子はポツンとぼっちになりがち。
みんなが息子のために待ってくれるわけではない。
理解はしていますが、必死に大きな子たちについて行って話そうとする息子の姿を見ていると"わざわざ今、この人間関係に入れなくてもいいのかな"と考えたんです。
というか、話し方を指摘されて吃音が定着するほうが怖かった。
だから一度その場から抜けるため、外で遊ぶことをやめました。
吃音症の改善に役立ったのかはわかりません。
私の心が軽くなったことは間違いない。
また遊べるようになったら遊べればいい、と。
今は小学校の友達がいるので人間関係は大丈夫そう。
こうして振り返ると吃音になった原因は伝えたいことと言語化できるギャップ、そして私の躾へのストレスだと思います。
成長することで言語化できることが増え、私以外の人間がいる環境に長くいることで吃音が軽減して治ったんでしょう。
親自身が自分を責めても何も解決しません。
思い悩んだら療養センターなどへ気軽に相談してほしいと思います。