
うちの息子も幼児期に吃音になりました。
5歳を過ぎた現在は吃音症状なく、普通に話せています。
コミュニケーションが思うよにできない、周囲からの理解が得られないなど親としては不安で仕方ありません。
そんな育児経験をもとに「幼児期になった吃音の症状と関わり方、そしてどうやって治ったのか」をシェアします。
吃音ってナイーブな問題のわりにどうしても言葉を発しないと人と関われないので公園や児童館、はたまた園に通ったりするときに不安に思う親さんも多いと思います。
少しでも同じ症状のお子さんに役立ってもらえればと願っています。
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おねしょが治らない経験談と親子のやるべきことはこちらでまとめています。
【もくじ】
そもそも吃音って何?
「原因は明確に解明されていない」

- 吃音とは声がどもったり、思うように発音できないことを指す
- 吃音は「連発型」「伸発型」「難発型」の3種類に分けられる
- 幼児期になりやすく、特に男児の割合いが多い
- 原因は大まかに「体質」「発達」「環境」だとされている
こちらでは「吃音とは何ぞや」を説明します。
既に知っている方は読み飛ばしてもらって構いません。
思うように言葉に出せない吃音の苦しみ
吃音は本人が話したくても思うようなテンポで言葉にできないときがあります。
要は本人の意思で抗えないのが吃音です。
吃音の特徴としては人前だったり、何気ない日常会話などの1人で声を出すときにどもりやすく、歌・独り言・ぬいぐるみや動物などに対して話しかけるなどのシチュエーションではどもることは少ないようです。
どもるポイントも個人差があります。
特定の単語や特定の行が言いにくい、休み時間はスムーズに話せるのに授業になるとどもるなど。
このように吃音症だからといって全員が全く同じではありません。
「連発型」「伸発型」「難発型」の具体例
吃音の症状は大まかにわけて3種類分けることができます。
「連発型」は1つの音を繰り返すどもりです。
「あっ、あっ、あっ、明日幼稚園いくの」と最初の単語を繰り返すことが多いです。
連発型から吃音になる子が大半。
「伸発型」は言葉を引き延ばすどもりです。
「あーーーーした幼稚園いくの」と最初の単語を伸ばしたりします。
「難発型」は無音の状態が続くどもりです。
「………………ッ、明日幼稚園いくの」本人は言葉を出そうと力むことがあります。
症状は違えど流暢に話すことができないので吃音とされています。
最初は連発型だったのに難発型になるみたいな症状の変化も吃音にはあります。
なかなか吃音症を知らない方でもテレビなどで見たことがあるんじゃないでしょうか?
2016年に放送された月9ドラマ『ラブソング』のヒロイン佐野さくら(キャスト:藤原さくら)が吃音症のシンガーソングライターという設定です。
さらに『裸の大将放浪記』では裸の大将こと画家山下清(キャスト:芦屋雁之助)も「ぼ…ぼ……ぼくは、おにぎりを食べたいんだなぁ」とどもっています。
吃音は幼児期(2歳~5歳)になりやすい
国立障害者リハビリテーションセンター研究所によると、吃音になりやすいのは2~5歳の幼児期だそうです。
吃音の発症は様々な国で確認されており、発症率に国や言語による差はほぼありません。
2語以上の複雑な発話を開始する時期に起きやすく、発症率は幼児期で8%前後。
女性より男性のほうが発症しやすい。
7~8割は成長と共に治るものの、大人になっても吃音が治らない確率は約1%と言われています。
大人になると話しやすいように「あのー」「えっと」など発しやすい前置きをしてから本題に入るとか、発しやすい言葉に言い換えたり、前後で言いたいことを置き換えたるなどの対人戦術を使う人が多いようです。
吃音症の原因は大きく分けて2つ
吃音は
引用元:国立障害者リハビリテーションセンター研究所
1.発達性吃音
2.獲得性吃音
に分類されます
吃音の9割は発達性吃音です。(中略)
体質的要因 (子ども自身が持つ吃音になりやすい体質的な特徴)
発達的要因 (身体・認知・言語・情緒が爆発的に発達する時期の影響)
環境要因 (周囲の人との関係や生活上の出来事)
※体質的要因(遺伝的要因)の占める割合が8割程度という報告もあります
一方、獲得性吃音には、
1 神経学的疾患や脳損傷などにより発症する獲得性神経原性吃音
2 心的なストレスや外傷体験に続いて生じる獲得性心因性吃音
があります。どちらも発症時期は青年以降(10代後半~)です。
つまり、吃音の多くは発達性からどもりはじめるからこれといって原因もなくはじまるよねってことです。
成長する上で吃音になっちゃったんだから成長することで徐々に治る。
だから大半は親でも子のせいでもないんだよってよく言われています。
私も療育センターで初めて吃音に関する指導を受けた際はそのように言われました。
吃音は親のせいじゃないって本当?
個人的には親からのストレスによって吃音症になることも十分にあると思っています。
「親のせいではない」って言うのは本当にそうである場合と、親への余計な不安ごとを失くす意味合いの場合があるんじゃないかなと考えます。
何気ない日常会話や子どもへの対応によって子たちは悲しくもなり、辛くもなるからストレスを感じることって実は簡単。
昔母親から「橋の下で拾ってきた子」と言われたことがあります。
親としては冗談やカッとなっていった言葉かもしれませんが、私は正直に受け止めて悩みました。
しょうもないジョークでも子供にとっては親が絶対的存在である限り、感情を揺さぶられるもの。
こんな生活が当たり前だとしたら慢性的ストレスで吃音になることもあるんじゃないか?
私も一時の母ですが、聖母マリア様のような慈愛に満ち満ちた理想的な母親ではありません。
育児は全てが初めてのことだらけで間違えることもあります。
息子に慢性的なストレスを知らないうちに与えたことだってあると反省することもある。
だから一概に吃音は親のせいじゃないって言いきるのも違う気がするんですよね。
2歳半の幼児期からどもり出したうちの子
「どんどん悪化していく」

- 2歳半から吃(ども)りはじめ悪化の一途
- 4歳前に治った
息子は連発型から難発型になったタイプです。
どもるようになったのは2~3語以上を使って話せる2歳半を過ぎたの頃。
頭の一音をやたら繰り返すなとは思っていましたが、徐々にそれが顕著になってきて私は吃音だと認識したのです。
いたずらや話し方が気に入ってやっているんじゃない。
そういう話し方が定着しているって感じ。
吃音には波がある
連発型のどもりが発症してから一度症状が治まる時期がありました。
私は一安心しました。
これでどもりの時期も終わりか、って。
それから約1週間後。
今度は難発型の吃音症状が現れました。
吃音は連発型は初期症状で治りやすく、難発型は定着すると治りにくいとネットで見かけたので内心汗だく。
「難発型=無音」って思ってる人もいるかもしれませんが、はたから見てると本当に辛そうです。
だって呼吸が止まってるんで。
発音しようと力んでるんですよ。
頭のてっぺんから足のつま先まで。
顔が真っ赤になったりすることもあって「息できてる!!!??一回空気を吸おう!」って声をかけることも何度かありました。
大げさでもなんでもなく、喉に大きな飴玉でも詰まってるじゃないかっていう命の危険を感じました。
そして月日が流れ、また吃音が治まる時期があってしばらくするとどもる時期がやってくる。
このとき難発型から連発型に症状がかわったんですよね。
しかも軽度になってる。
今までは話すことに時間がかかっていたのに割とスムーズでふわっとした吃音とでもいうのか、とにかくいい方向に向かっているのだけは分かりました。
気が付いたら4歳前にして吃音完治。
それ以降吃音の症状がでていません。
現在息子は5歳の幼稚園年長組です。
ネットで調べたり、息子の症状を見る限りやはり吃音には波があります。
どもりが緩和されたり全く出ない「良いとき」と、会話すらままならないほど重度のどもりがある「悪いとき」。
その波が少しずつ小さくなっていくって言うイメージです。
小さい波だと日常生活に支障をきたさないため、気が付いたら最近どもってなくね?って改めてどもりからの卒業に気づきます。
幼児期に吃音になった息子の特徴
「一生懸命言葉で伝えようとする」
役立つかはわかりませんが、息子の特徴も書いておきます。
完璧主義者。
2歳半のとき、2語文でも意味は伝わるのに息子はかなり複雑な文章で自分の意思を伝えようとしていました。
例えば「ごはん、おいしいね」でも伝わるけど……

めっちゃ具体的ッ!!
年1~2回の帰省で会える義母からは

ってよくいわれました。
そう、息子は完璧主義者が故に「表現したいこと」と「表現できたこと」のギャップにストレスを感じていた可能性もあるんじゃないかと思います。
自分のことをちゃんとわかってほしいが故に難しい言葉や文法を使う。
はたから見れば賢い子とか言葉の早い子ってとらわれることが多かったんです。
親からするとそんな無理しなくても大丈夫だよって思ってました。
ちなみに吃音症の期間中に息子は軽度の自閉スペクトラム症と診断されています。
療育センターでの診断や指導を受けました。
息子の吃音と自閉スペクトラム症が密接な関係にあるのか今となっては分かりませんが、発達障害という大きなカテゴリーに含まれます。
療育センターで自閉スペクトラム症と診断された経験はこちらを参考にしてください。
準備中
吃音治療に効果があった対応方法
「4選」

- 短くわかりやすいように叱る
- 両親の喧嘩をなくす
- 実家に帰る
- 吃音の症状を指摘しない
普段の叱り方は2パターン。
その行動をしたほうがいい理由とか、なぜそう思うのかを聞いたりとか。
とにかく長々話をするのが一つ目。
二つ目は最終奥義で短時間押し入れに閉じ込める方法。
3回以上注意しても聞かなかったときは1~2分以下押し入れや脱衣所閉じ込めていました。
それぞれに吃音になるかもしれない原因があると思ったので夫婦で話し合い、対応の仕方を変えることにしました。
幼児相手には短い文でわかりやすく叱る
一生懸命言葉や文法を考える息子だからわかってくれるだろうと思ってやっていた長々と話をする対応。
ぶっちゃけ、うちの3歳児には容量オーバーだったのかもしれません。
親の話し方を子供が真似する……って感じで本人にとってはストレスになっていた可能性もあります。
叱るときは端的に伝えることと、対応バリエーションを増やすことにしました。
端的に伝えるコツは「~だったら大変でしょ?」みたいなたとえ話をしないとやりやすかったです。
例えば、
改善前「道路に飛び出すと車に引かれたら死んじゃうよ?」
改善後「道路に飛び出すのはやめよう。車に引かれて痛い思いをするのはあなた。それはママも悲しい」
って感じですね。
ニュアンスはどちらも似てるんですけど、改善後の方がどうなるのか子供でも想像しやすいのではないでしょうか。
「ダメ」とか「よくない」などの抽象的な言葉に頼っている方はやってみるといいかもしれません。
結論を最初に投じて、後から具体的な理由と親の感情。
この順番だと3歳児にも伝わりやすいと経験上感じました。
さらに意図的に対応のバリエーションを増やすことにもチャレンジ!
ほぼ毎日24時間母子だけの生活ってのは正直私にとってはしんどくて、子供への対応がおざなりになっていたことがあったのは確かです。
最終的には押し入れに入れれば反省するだろう。
結構サイコパスな思考だなって我ながら思いますけど、異常なほどにこだわりが強い息子に合わせての生活ってのは血が繋がっているとしても精神病みました。
吃音が出てからはとにかくストレスを失くそうってことに注力したため、押し入れに閉じ込めは禁止。
代わりに息子の感情にひたすら共感すること、関心をそらせることなどを実行。
もう家事は二の次にして時間が許す限り子供に付き合うようにしました。
これらの事をやると以前より物分かりが良くなって育児自体がラクになった気がします。
両親の喧嘩を失くして子供のストレス軽減
夫婦喧嘩の原因は自閉スペクトラム症と躾に関する物が多かったです。
独特なこだわりが強い息子は両親に指示を出すことが多々ありました。
ママはそこに立っててとか、トトはご飯食べちゃダメとか、ママがティッシュ取ってきてとか。
叱った後に癇癪としていう事もあれば、旦那に対しては甘えている延長線上で行動を制限していました。
食べることが好きな旦那ですから、食べないでと言われると5分くらいは待つものの結局食べるんですよね。
すると息子は荒れ狂うわけですが。
旦那が自閉スペクトラム症の性質ではなく単なるわがままであると考え、私はその逆で強いこだわりを持つ特質の子供なのだからあわせて欲しいと考える。
この食い違いによってたびたび夫婦喧嘩は起きました。
躾に関して言うと私が躾役で旦那は甘やかせる役。
精神的にも肉体的にも辛いのに躾まで任せっきりにされるとイライラしますよ。
「どうして旦那は叱ってくれないの!?躾も育児のひとつでしょ?協力してほしい」
そんな不満から夫婦で言い合いになったりもしました。
結局自閉スペクトラム症の診断が下りたことで旦那に息子の性質を理解してもらうことができたし、躾は私が叱る代わりに甘やかせるのは完全に旦那の役目と分担することで息子の前での夫婦喧嘩を減らすことに成功。
全くなくすっていうのは無理なんですけど、家庭に不協和音が流れるような喧嘩は無くなったって意味です。
帰省などで環境を変えてみる
一番効果があったのがコレ!!
吃音症状を見ていると、あることに気が付きました。
それは『両親以外の人がいる環境に長くいると吃音が治っている』ということ。
例えば帰省して実家で過ごしたり、総祖父母の家に言ったり、旦那が長期休みで家にいるなどしたときは息子の吃音はかなり軽減されたり、全く気にならない程度にまで改善したりする確率が高かったんです。
大体1週間程度の滞在で気が付くと普通に話してる。
この変化に気づいてからはできるだけ長いこと滞在できるように時間を取りました。
え?これって私と2人きりだから吃音になるってこと??とか考えましたがそりゃ押し入れ閉じ込めたりとかしてたから仕方ないか。
自業自得ですね。
心の安定と環境の変化は吃音にとっては目に見ない良薬だと思います。
ママと子供だけの環境から一度離れて吃音の経過観察をしてみるのは是非やって欲しいです。
うちの場合は一番効果がありました。
指摘不要!話を黙って最後まで聞く
ネットに書いてあったのでやってみました。
吃音だと「ゆっくり」「落ち着いて」「大丈夫だよ」とか応援や安心させたくなる気持ちから聞き手が言ってしまいがちなんですけど、言わない方が良いらしい。
なぜなら吃音を本人が自覚していない場合があるから。
聞き手が励ましたり、応援することで『自分は普通の話し方ができていない』と意識する子も中にはいるそうです。
だからどんなに連発してようが、話し終わるまでに時間がかかろうが黙って最後まで聞き続けました。
吃音だからと言って相手の言いたいことを先取りして要約するのも良くありません。
話したいトークを他人に言われるのって嫌じゃないですか?
それと同じです。
どうやら頑張って話し終えたあとに要約するのはいいみたいですよ。
伝えたいことがちゃんと伝わっていると子供は達成感を得ることで話す意欲が湧くんですって。
ただし、難発が酷く呼吸が心配な時は背中をさすったり、呼吸しようと促すことは数回ありました。
それ以外は徹底して適度な相槌をいれつつ、聞き役に徹するだけ。
吃音を理解されない時の対処法
「無理して付き合う必要ない」

- 親の判断で一時的に関わり合いを断っていいと思う
近所には小学生の子供が多く、一緒に遊んでくれる子もいました。
幼稚園に通っていない息子にとっては唯一の遊び仲間です。
吃音前なら何も問題はなかったんですが、吃音が出始めると頭を悩ませることが増えました。
息子が難発で無音状態が続くと


(難発型の症状で力みながらも発音しようとしている)


息子ちゃん、何言いたいのかわかんなーい。
走り去っていく近所の子と、言いたいことを伝え切ろうと走ってついていく息子。
こんなやりとりはひと月ほどほぼ毎日続きました。
「こういう話し方なんだよ」と説明したら吃音であることを息子が自覚してしまうかもしれない。
かといって現状では親として心が痛む。
板挟み状態です。
子どもは悪気なく、純粋に思ったことを口にすることがありますよね。
息子がちょっとやそっとじゃへこたれない性格であるものの、吃音のせいで他の子に話し方をからかわれたり、変な子扱いされるのは悲しいものです。
一応息子には聞こえないところで

と説明しました。
それでも3人以上の子供がいれば、息子が話し終わるまで我慢できない子もいます。
手厳しい指摘をする子もいます。
気にかけてくれる優しい子もいます。
集団行動ともなれば仲のいい子を優先することも出てきます。
全員が息子のために待ってくれるわけではないことを理解していましたが、必死に大きな子達についていって話そうとする息子の姿を見ていると複雑な人間関係の中にわざわざ入れなくてもいいのかなと考えたんです。
変に指摘されて吃音が定着するほうが怖かった。
だから一度その場から抜けることに決め、その日から外で遊ぶことをやめました。
吃音症の改善に役立ったのかはわかりませんが、私の心は軽くなったのは間違いありません。
人間関係は無理して付き合う必要はないと思います。
また遊べるようになったら一緒に遊べばそれでいい。
幼児の吃音が治った経験談「まとめ」

- 吃音は「連発型」「伸発型」「難発型」がある
- 幼児期になりやすく、特に男児の割合が多い
- 原因はおおまかに「体質」「発達」「環境」である
- 息子の場合2歳半からどもりだし「連発型」から「難発型」に変化した
- 4歳前に吃音完治
- 最も効果があった対策は帰省したこと
- 1週間以上の滞在で改善の傾向あり
- 交友関係は吃音指摘による定着やストレスがあるため制限
- とにかく息子へのストレスを失くそうと夫婦の協力や周囲からの理解を求めることに注力した
- 5歳半を過ぎた今もなお吃音症状はなく、本人も吃音の記憶がない

吃音の治療は定着してからだと難しいらしいので幼児期の吃音はかなり心配でした。
結果的にはどもることがなくなって良かったんですが、これをきっかけに息子との関わり合い方を見直しました。
それが正解だったのかはわかりませんが、やって良かったと思います。
幼児期の吃音は知らないうちになくなった方も多くいます。
あまり思い込まず、温かく見守りつつ親ができることはしたほうがいいというのが私の感想です。